研究課題/領域番号 |
26870259
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
澤 正憲 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (50508182)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 矩形求積公式 / Fisher型不等式 / 再生核 / 平均値の定理 / ガウスの平均値定理 / 調和関数 / 最適実験計画 |
研究実績の概要 |
1.矩形求積公式の概念の一般化として,一般の有限次元関数空間上で矩形求積公式(測度空間上のcubature公式と称する)の概念を導入し,主に以下の成果を挙げた.(1)公式に必要な点数の下界(Fisher型不等式,線形計画不等式)および再生核を用いたFisher型不等式の等号成立時の特徴付け.(2)平均値の定理の多変量・複数関数同時化に関する二段階拡張として,測度空間上のcubature公式の漸近的存在定理の証明.一連の成果は,各種招待講演等において口頭発表され,日本数学会から出版される雑誌「数学」へ掲載予定である.
2.測度空間上のcubature公式の基礎研究の理論的応用として,主に以下の成果を挙げた.(1)実験計画法への応用:球体上の3次多項式回帰モデルにおいて,D最適基準を満たす点配置(D最適計画)を構成した.一連の成果は,日本数学会統計数学分科会等において口頭発表され,インドの統計学会誌"Sankhya Series A"に掲載された.(2)調和関数に対するGaussの平均値定理の一般化として,ラプラシアンが付随するある種の積分近似公式(Laplacian-type cubatureと称する)の基礎研究を行った.一連の研究成果は,日本数学会誌"Journal of the Mathematical Society of Japan"に掲載予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究者の事情により,当初計画の研究実施年度を一部入れ換え,解析的デザイン理論の構築とその応用に集中して研究に取り組んだ.基調・特別講演をはじめ10件程度の口頭発表と,3件の学術雑誌への論文掲載など,研究は順調に進展したといえる.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,初年度には,超八面体のcorner vectorを用いた多重同心球面上のcubature公式の構成法を与えた.また,その応用として3次最適実験計画の構成法を与えた.H27年度は,平尾将剛氏(愛県大)と共同で,corner vectorに以外の”特殊”な点を加味してcubature公式の構成法を改良し,より高次の最適計画の構成も試みる.また,Reznick氏(イリノイ大)と共同で,ヒルベルト恒等式の漸近存在定理(Hilbertの定理)の別証明および改良を試みる.最近,内田幸博氏(首都大東京)との議論により,このテーマには準直交多項式の有理点の解析とエルミート型の再生核の構造が深く関与していることが明らかになっており,この方向性からも課題の解決に挑みたい.
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