本研究は、次世代の軽量化材料として有望なFRTP(Fiber Reinforced Thermoplastic、熱可塑性樹脂複合材料)において、スタンピング成形時の樹脂および繊維の流動挙動の可視化とその場観察、プロセス因子の解明を目的としている。 H28年度は、前年度までに開発した成形中の樹脂流動可視化システムを利用および拡張した、スタンピング成形における三次元樹脂流動の可視化実験を行った。また、前年に検討したX線下での繊維流動の可視化を踏まえ、可視光下での繊維流動のモデル実験を行った。 樹脂成形において、部材の強度や剛性を確保するために、平板やハット部材にリブを成形することが多い。そこで、前年度まで実施した平板の可視化手法を拡張し、平板とリブの同時成形を行った。この際、樹脂は平板が広がる方向と、リブが立ち上がる方向へ流入する三次元の流動挙動を示すことになる。そのため、平板の底部とリブの側方の2箇所にそれぞれデジタルカメラを設置して流動挙動を可視化した。その結果、樹脂は、最初は平板が広がるように成形され、成形の後期になるとリブ部へ流入する様子が観察できた。 スタンピング成形中の繊維の流動挙動を明らかにするために、透明な樹脂と銅繊維からなるモデル材を作成し、平板成形実験と繊維流動の可視化を行った。モデル材として銅繊維を樹脂中に様々に配置して成形を行った結果、樹脂の流動によって繊維の移動や回転、曲がりなどの挙動が可視化することが可能となった。
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