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2014 年度 実施状況報告書

ファセット形態制御に基づく次世代ナノ複合材料の飛躍的高強度化

研究課題

研究課題/領域番号 26870263
研究機関名古屋大学

研究代表者

木下 佑介  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60509074)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードポテンシャル関数 / 分子動力学 / 分散力補正第一原理計算
研究実績の概要

本研究では,ファセット形態を有する多層窒化ホウ素ナノチューブ(MWBNNT)を強化材としたナノ複合材料について,その高比強度の理論的検証と最適設計に向けた理論体系化を行う.そのためには,原子レベルからの詳細かつ高精度な検討が不可欠であり,その方法として分子動力学計算が最適である.分子動力学計算の精度と信頼性は,それに用いるポテンシャル関数により決まるため,本年度はBN層状材料の高精度ポテンシャル関数を以下の手順により構築した.
まず,リファレンスとなる第一原理計算を行った.従来の第一原理計算手法は分子間力の解析に問題を抱えており,層状材料においては分子間力に起因する層間相互作用を正しく評価できないが,分散力補正を行うことによりこの問題を解決する第一原理計算手法が近年複数提案されており,どの手法がBN層状材料の解析に適しているかを検討した.分散力補正手法として,DFT-D2,DFT-D3,DFT-TS,DFT-TS-SCS,optB86b-vdW,optB88-vdW,optPBE-vdW,vdW-DF,vdW-DF2の9手法を比較した結果,BN層状材料の解析にはoptPBE-vdWが適していると判断した.
つぎに,optPBE-vdWをリファレンスとして,ポテンシャル関数の構築を行った.ポテンシャル関数は,層内の共有結合を再現するTersoffポテンシャル,層間のファンデルワールス力を再現するBuckinghamポテンシャル,静電気力を再現するCoulombポテンシャルから成り,optPBE-vdWによる結果と合うようにパラメータの最適化を行った.その結果,BN層状材料の層間結合エネルギーと一般化積層欠陥エネルギーを高精度に再現するポテンシャル関数の構築に成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画どおりに,H26年度中に本研究の遂行で不可欠な分子動力学計算に用いる高精度ポテンシャル関数の構築を完了した.また,H27年度に計画しているMWBNNTの安定的ファセット化条件の解明に向けて,解析モデルや解析条件の検討を進めており,実行に移す目途が立ちつつある.以上の理由から,本研究はおおむね順調に進展していると判断する.

今後の研究の推進方策

H26年度に構築したポテンシャル関数を,超並列計算が可能な汎用分子動力学シミュレータLAMMPSに組み込み,解析の短縮と効率化を図る.
分子動力学計算によるMWBNNTの安定構造解析を,チューブ直径と層数を変えて繰り返し,従来の場合とファセット化した場合のエネルギー比較から,安定的にファセット化する条件を明らかにする.特別な処理なく自然選択的にファセット化することが望ましいが,どのような条件下でも安定的なファセット化が不可能である時は,空孔やStone-Wales欠陥の導入により強制的にファセット化させる.近年では,イオンビーム照射によるナノチューブへの欠陥導入と形態制御が可能となっており,強制的なファセット化は現実的な手段である.

次年度使用額が生じた理由

計算条件の見直しにより,計算量・計算時間が大幅に低減・短縮され,当初予定していた名古屋大学情報基盤センターのスーパーコンピュータを使用せずとも,所有のワークステーションにより計画に支障をきたすことなく研究を遂行できたため.

次年度使用額の使用計画

費用対効果の観点から,名古屋大学のスーパーコンピュータではなく,最新のマルチコアワークステーションの購入と使用を予定している.また,成果発表と情報収集のために,2回の外国出張と3回の国内出張を予定している.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 多層窒化ホウ素ナノチューブの超高ねじり剛性発現メカニズムに関する第一原理計算2015

    • 著者名/発表者名
      松原淳,木下佑介,大野信忠
    • 学会等名
      日本材料学会東海支部第9回学術講演会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2015-03-04 – 2015-03-04

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公開日: 2016-06-01  

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