「圧力分布に基づくインピーダンス制御法の提案」と「検証用実機の製作と手法評価」が主な成果である。これらの成果を国内会議4件(査読無)、国際会議1件(査読有)で発表した。また、名古屋大学オープンキャンパス・名古屋大学ホームカミングディ・フロンティア21エレクトロニクスショーにて一般向けに成果を紹介した。 既存の「外乱トルクに基づく位置ベースインピーダンス制御法」も、昨年度提案した「面状圧力センサから生成した疑似外乱トルクに基づく位置ベースインピーダンス制御法」でも、関節ごとに独立に制御する手法となっていた。機構全体で大きな圧力を低減するために、逆運動学を利用した新たな制御法を検討した。具体的には、面状圧力センサから得た圧力分布を減らすリンク位置・姿勢を算出、逆運動学を利用して関節指令値に変換し、機構全体(多軸)を制御する手法に拡張した。機構の自由度を活かした制御により安全性が向上した。 昨年度・今年度の手法共に関節ごとにインピーダンス特性を反映したフィルタを設計することで、部分的に異なるインピーダンスを実現できる可能性が見えた。運動に応じた適切なインピーダンスの設計は十分検討できてないものの、当初目標としていた単一のコントローラでも部位ごとに異なるインピーダンスが制御できる枠組みを構築した意義は大きい。 検証用実機を製作して手法の評価を行った。昨年度明確にした4関節4リンクのアシスト機構の試作機を製作、試作機表面に柔軟な面状圧力センサを配置し、圧力分布情報に基づく手法を実装して検証した。予算の都合上、直接装着可能な試作機として製作することが困難であり、官能試験による主観的な性能評価は行えなかった。しかし、人体モデルを用いた基礎的検討により、実機においても圧力分布情報に基づく制御法の有効性を示した。本研究の申請時に設定した目標は概ね達成できた。
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