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2014 年度 実施状況報告書

“交流”を主眼とする災害復興活動の記録・分析とリスクコミュニケーションモデル構築

研究課題

研究課題/領域番号 26870279
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

相田 慎  豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60345957)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード地域社会・村落・都市 / 社会学 / コミュニティ / リスクコミュニケーション / 科学コミュニケーション / ソーシャル・キャピタル / 東日本大震災 / 原発事故
研究実績の概要

研究代表者は、2012年度より“交流”を中心に据えたいわき市復興活動に参加している。本活動では、現地有志らと研究者らが、互いの立場関係無く、「いわき市でのコミュニティ交流活動」についてボトムアップスタイルで問題提起し、議論を行っていた。
2014年3月17日、本活動は「NPO 法人 ふくしま洋上風力発電・絆ネットワーク」のコミュニティ交流活動事業となった。その活動拠点(コミュニティスペース)として、(有)ネクストホームモデルルーム(福島県いわき市仁井田町)を使用することとし、他の NPO 法人より無償貸与された微量放射能測定装置を、コミュニティスペースに設置した。
交流活動事業の中心メンバーは、研究代表者の他に、上記NPO法人メンバー・菅野理沙氏、東京慈恵会医科大学・箕輪はるか氏、電気通信大学・佐藤賢一氏、いわき市フリーペーパー“Hi Magazine”ライター・高木永氏、(有)ネクストホーム代表・大森猛氏、並びにその従業員の方々で構成されている。
初年度は、「微量放射能測定装置を設置したコミュニティスペースの運営方針」の洗い出し作業を実施し、「活動のエスノグラフィー記録」を行った。その結果、(1) 交流活動の方向性を決めるだけに留め、具体的目標は敢えて定めない、(2) 現場の意見を伺い、時々刻々と変化する状況・ニーズの変化を捉え、臨機応変に対処する、(3) 交流活動事業外のコミュニティと積極的かつ有機的に連携し、「交流活動のソーシャル・キャピタル向上」を目指す、と言った方針が有効との知見を得て、それに関して学会で発表した。
また、いわき市立小名浜第二小学校にて、4~6年生・PTA向けに、箕輪はるか氏を講師とした「放射線に関する出前授業」を企画・実施した。その場において、児童らの授業聴講の様子をビデオ撮影し、自由記述のアンケート調査を行うことで、マルチモーダルデータを獲得出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1) 今年度は、コミュニティ交流活動事業を暫定実施し、本格実施に向けての洗い出し作業のフィールドワーク、並びに、SNS 上で十分に議論した。また、その作業内容をエスノグラフィー記録した。
(2) 微量放射能測定装置が設置されているコミュニティスペースにおいて、いわき市内・近隣の様々な農林水産物・土壌等の放射能について実測し、放射能の傾向を事前調査した。これら調査結果に基づいて、コミュニティ交流活動事業を本格実施する体制準備を整えることが出来た。
(3) いわき市立小名浜第二小学校の出前授業によって得られたマルチモーダルデータに、社会学分野で広く使われている会話分析ソフト ELAN を用いて、アノテーション付与を実施する環境を整えることが出来た。

今後の研究の推進方策

(1) 初年度に引き続き、コミュニティ交流活動事業の本格実施に向けた作業を協働する。市内のみならず、広く社会・学会へ論文投稿等の情報発信を行い、それらからの反応を、交流活動事業に随時フィードバックする。このような「コミュニティ交流」と「社会による評価」は、前者は地域コミュニティへのアウトリーチ活動に、後者は一般社会へのそれにそれぞれ対応付けられる。この「コミュニティ交流活動の改善手法」は「概念上のモノ」と捉えると、工学分野のモノづくりサイクル、特に「PDCA サイクル」との類似する。その点に着目し、原発事故問題以外の大規模災害時にも、汎用的で広範囲に適用可能な活動手法の洗練作業を実施する。
(2) いわき市立小名浜第二小学校の出前授業のアノテーション付きマルチモーダルデータは、本コミュニティ交流活動事業の改善、並びに地域の課題発見・解決のためのリソースとして活用する予定である。特に、活動メンバーらが、本データを用いたビデオリフレクション(動画による振り返り)を行うことで、「交流活動実施時には気付かなかった新しい知見」を得られる可能性が高い。
(3) いわき市内の、あるコミュニティ活動と連携することが出来た。この活動では、震災前から、「野菜作りをテーマとしたコミュニティ活動」を実践し、毎月定期集会を催している。震災時の原発事故は、そのコミュニティにも影響を与えたが、すぐに活動は再開されたことが、関係者との懇談を通じて解った。このコミュニティの復旧の早さは、コミュニティのソーシャル・キャピタルの潜在的な高さに起因すると考えられる。そこで、そのコミュニティのメンバーへのインタビュー調査を行い、当時の事実を明らかにし、それらを事例研究としてまとめ、公表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

取得済みの少額物品(ノートPC・複合機等)を本研究課題でも再利用出来たこと、並びに、フィールドワーク調査旅費が、当初想定より少なかったことに依る。

次年度使用額の使用計画

次年度のフィールドワーク調査旅費、並びに、消耗品等の購入に充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 震災復興活動のレジリエンスを実証するためのフィールド構築 ~福島県いわき市を事例として~2014

    • 著者名/発表者名
      相田 慎
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告(ヒューマンコミュニケーション基礎)

      巻: 114 ページ: 63-67

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] 震災復興活動のレジリエンスを実証するためのフィールド構築 ~ 福島県いわき市を事例として ~2014

    • 著者名/発表者名
      相田 慎
    • 学会等名
      電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーション基礎研究会
    • 発表場所
      立命館大学朱雀キャンパス
    • 年月日
      2014-08-22 – 2014-08-23

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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