研究代表者は、平成22年度より“交流”を中心に据えたいわき市復興活動に参加している。本活動では、現地有志らと研究者らが、互いの立場関係無く、「いわき市でのコミュニティ交流活動」について議論を行っていた。平成26年3月17日、本活動は「NPO 法人 ふくしま洋上風力発電・絆ネットワーク」のコミュニティ交流活動事業となり、その活動拠点として、(有)ネクストホームモデルルーム(福島県いわき市仁井田町)を使用し、他法人より無償貸与された微量放射能測定装置を設置した。
平成30年度は、前年度に龍谷大学で開催された「『ナラティブ(語り)研究の社会貢献を考える』ラウンドテーブル」に関連する共著の人文科学系研究書籍(論文集)の一章分を執筆した。具体的には、平成27年度に収録した「放射線に関する専門家の講演会を聴く小学校4年生・保護者の質疑応答」の場面を、「制度的場面での社会的相互行為における語り」とみなし、ELAN(動画内の言語・非言語情報に詳細にアノテーション付与出来るソフトウェア)を用いて動画に言語・非言語情報のアノテーション付与・分析作業を行い、その分析結果に基づいて、原稿を執筆した。本書籍は、2019年度に出版される予定である。
また、平成30年度は、上述講演会の様な「公的な場での語り」との比較のための「私的な場での語り」として、日常会話場面を、撮影・記録するフィールワークも継続的に実施した。収録環境は、上記拠点、並びに、もう一つの活動拠点であるいわき市内のペンションである。本年度は最終年度であるが、次年度以降においても使用できる様に、平成26年度~平成30年度の間に、十分な量の会話データを取得した。本データは、2019年度に採択された科研費・基盤(C)「『日常の科学コミュニケーション』が変化する局面の多角的分析」(2019年度~2023年度、研究代表者)においても活用する。
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