研究課題
大うつ病は、抑うつ症状や興味・喜びの減退、不安などを特徴とした精神疾患であり、気分の変動のみならず、認知機能も障害されることが知られている。また、希死念慮・自殺企図を生じ、その自殺率は15-25%とされており、社会的問題となっている。大うつ病の病態を解明するため、これまで神経細胞を主とした研究が行われてきたが、未だ明らかになっていない。その理由の1つとして、多くの研究で解析されている神経細胞のみならず、グリア細胞の異常も重要な役割を果たすことが明らかになってきたことが挙げられる。研究代表者は、大うつ病患者死後脳の前頭前野と側頭葉を解析し、前頭前野に特異的なオリゴデンドロサイト系譜細胞の減少を見出した。これは、オリゴデンドロサイト系譜細胞の異常が、脳機能に直接的または間接的に異常をもたらす可能性を示す。本研究計画では、肝炎などの治療に用いられており、投薬を受けた20-50%の患者においてうつ病を併発する、インターフェロンαの慢性投与による、カニクイザルうつ病モデルの作製と脳細胞の動態変化について検討を行ってきた。昨年度までに、インターフェロンαの慢性投与個体と対照個体(生理食塩水投与)をそれぞれ2頭の投与が終了しており、本年度1頭ずつの投薬が終了し、3頭ずつのサンプルを用意することができた。投薬後の脳において、神経細胞やオリゴデンドロサイト系譜細胞の細胞数定量や、細胞種特異的DNAメチル化解析などを行った。また、動物センターより提供を受けたカニクイザルに核酸アナログであるBrdUの投与を行い、1か月後に脳を採取し、大脳皮質において分裂した細胞の生存と分化について検討を行った。
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成体の科学
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