研究課題/領域番号 |
26870285
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 貴彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30570775)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | miRNA |
研究実績の概要 |
脊椎動物の筋衛星細胞は、骨格筋での損傷や疾患により再生が起こる時に増殖分化し始めるが、その発生機序や制御機構は不明な点が多い。骨格筋細胞を蛍光可視化する遺伝子導入マウスを用いてその系譜を探る中で、骨格筋繊維へ最終分化する細胞群と未分化性が維持される骨格筋幹細胞産生時の分岐に、さらに骨格筋再生時にもmiR-195/497を介した転写後制御機構が存在することを見出した。しかし、この機構が生体内でどのように影響を及ぼし、また成長・加齢と関係があるのか全く分かっていない。そこでmiR-195/497発現変異遺伝子操作マウスを用いて、生体内で骨格筋幹細胞から起こる転写後制御機構に迫る。生体での遺伝子機能喪失あるいは強制発現実験を行った場合、骨格筋以外にも影響が出る可能性があるので、遺伝学的に時期組織特異的に変化させることが可能なマウスを樹立することによって検証する。 今年度、時期特異的にmiR-195/497発現を変化させることが可能な遺伝子導入マウスの樹立を行った。Cre発現下で強制発現可能なトランスジェニックマウスと欠損マウスを導入し、その発現変化レベルを調査した。qPCRによる結果、強制発現トランスジェニックマウスではmiR-195/497の増加が認められ、欠損マウスではmiR-195/497の発現が低下することが確認された。今後はこれらのmiR-195/497発現変異マウスを用いて骨格筋組織を詳細に解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、複合的なmiRNA発現変異マウスの樹立作成とその個体数の確保に努めた。結果、全ての作業を終了し、次年度組織解析を行う準備が整った為。
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今後の研究の推進方策 |
成体段階でタモキシフェン投与した時期特異的miR-195/497強制発現あるいは機能喪失マウスの骨格筋組織を、セルソーターにより筋細胞の単離選択後、骨格筋幹細胞の骨格筋繊維当たりにおける細胞数の野生型との比較、骨格筋幹細胞を増殖培養した時の増殖分化の野生型との相違、そして増殖後の骨格筋分化による骨格筋繊維としての形態的力学的変化(骨格筋繊維径測定、骨格筋繊維弾性試験)の検討、を試験管培養実験として視野に入れている。 またマウス個体を用いた実験として、上記タモキシフェン投与したmiRNA発現変異マウス骨格筋をカルジオトキシン処理することにより、骨格筋再生を起こした場合の骨格筋幹細胞がどのように寄与するのかを観察し、miR-195/497の生体内における機能評価を行う。
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