脊椎動物の筋衛星細胞は、骨格筋での損傷や疾患により再生が起こる時に増殖分化し始めるが、その発生機序や制御機構は不明な点が多い。骨格筋細胞を蛍光可視化する遺伝子導入マウスを用いてその系譜を探る中で、骨格筋繊維へ最終分化する細胞群と未分化性が維持される骨格筋幹細胞産生時の分岐に、さらに骨格筋再生時にもmiR-195/497を介した転写後制御機構が存在することを見出した。しかし、この機構が生体内でどのように影響を及ぼし、また成長・加齢と関係があるのか全く分かっていない。そこでmiR-195/497発現変異遺伝子操作マウスを用いて、生体内で骨格筋幹細胞から起こる転写後制御機構に迫る。 今年度、時期特異的にmiR-195/miR-497発現を欠損させることが可能なマウスを用いて、生体におけるその影響を調査した。骨格筋幹細胞特異的にmiR-195/miR-497を欠損させたマウスを作成することに成功したが、現在までのところ成体野生型マウスならびに欠損体マウスの骨格筋組織を用いて、幹細胞数あるいは筋再生能力を比較したところ有意な差を認めるには至っていない。今後週齢を重ねた老齢マウスなどとの比較を行い更に検討を重ねる予定である。
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