研究課題/領域番号 |
26870302
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
粂田 昌宏 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (00582181)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞骨格 / 分子生物学 / 細胞生物学 |
研究実績の概要 |
研究初年度は、カプリースの全長の精製と発現制御に関わる機構の解明を目指した。 1.カプリース全長分子の発現精製 非常に難溶性で大腸菌での精製が不可能なカプリースの全長分子を得るべく、昆虫細胞Sf9を用いた発現精製系を検討した。この系を用いても可溶化自体が困難なことに変わりはなかったが、変性剤ウレアを用いたHisタグ精製により、十分な量の全長タンパク質を得ることに成功した。現在、タンパク質の活性を回復しつつ変性剤を除去する方法を検討中である。 2.カプリース遺伝子プロモーターの同定 カプリースの発現は細胞種に強く依存する。そのメカニズムを遺伝子発現様式から理解するため、プロモーターの解析を行った。ヒト・マウスのカプリース遺伝子上流をクローニングしてレポーターアッセイによる機能評価を行ったところ、カプリースを発現しているHeLa細胞ではいずれの生物種由来のDNA領域も強い活性を示し、カプリースを発現していない3T3繊維芽細胞では活性が見られなかった。現在この分子メカニズムを明らかにすべく、関連因子に着目している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで精製が困難であったカプリース全長分子が得られたことと、異なる細胞種でカプリース遺伝子のプロモーター活性を評価できたことは、計画通りの順調な進展である。一方、リン酸化サイトの特定は、いくつかの候補部位に変異を入れて検討しているが、評価にはもう少しの時間を要するが、解析自体は進展している。上記より、計画通りの順調な進展と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の結果を元に、分子・細胞レベルでのカプリースの機能メカニズムを明らかにする。分子レベルでは①全長分子の精製と活性評価、②F-アクチンメッシュ構築のin vitro実験アプローチ、③機能におけるリン酸化制御の検討、を行う。これにより、カプリースの細胞内作用機序の分子的基盤を得る。細胞レベルでは、①カプリースが形成する細胞内構造の詳細な可視化解析、②細胞種依存的なカプリース遺伝子制御機構の解明、③細胞骨格への作用機序と細胞機能への影響の解析、を行う。これにより、カプリースのノックダウンや過剰発現がどのように細胞形態に大きく影響を与えるかを明らかにし、この遺伝子機能の生物学的意義に迫る。
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