研究課題/領域番号 |
26870307
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山内 裕 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (50596252)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サービスエンカウンター / 顧客インタラクション / エスノメソドロジー / 闘争としてのサービス / サービスの弁証法 |
研究実績の概要 |
本研究では、サービス場面における顧客インタラクションのエスノメソドロジー分析を行った。鮨屋、ファストフード、イタリアン、フレンチ、クリーニング店などの場面において、顧客とのインタラクションをビデオに撮影し、それを書き起こし分析した。これらのデータは完全に分析できていないが、いくつかの成果が出ている。 2015年3月24日にこの研究をまとめたものを単著『「闘争」としてのサービス--顧客インタラクションの研究』(中央経済社)として公刊した。本書では、上記の分析を踏まえて、「サービスとは闘いである」というテーゼを掲げている。サービスは、顧客を満足させることである、見返りを求めない心をつくしたおもてなしであるなどの言説を批判し、サービスとは客と提供者が互いに力を示し、互いの力を見極める闘いであると捉える。これにより、既存のサービスを肯定的に記述するだけのおもてなし論を乗り越え、サービスを学術的な議論に載せる。また、本書では、サービスに関して誤解されていることを払拭するだけではなく、なぜそのような誤解が生成され、正当化され、文化として定着するのかを分析している。 論文としては、以前から分析してきたクリーニング屋における顧客インタラクションの分析が形になった(採択された)。この論文の主張は、上記の単著にも含まれるが、顧客インタラクションがルーチン化されるとき、参与者自身がどのようにルーチンを理解し、自らの行為をルーチンであるように構成するのかに注目している。クリーニング店で汗抜き加工などのオプションを単に勧めると、客は「売り付けられた」と感じてしまう。そこでオプションの提案をあたかも当然であるかのように、つまりルーチンであるかのように構成していく必要がある。本研究はこのための方法を記述している。その他、論文を英文ジャーナルに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに経験的研究をまとめ、理論を構築し、日本語で単著を発表することができた。本来は3年目に実施するべきことであるが、まず初年度に達成した。今後は英語での発表を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、英語でのジャーナル論文、そして英語での書籍の執筆を進めていく。海外での研究発表も展開していく。その過程で、追加のデータ収集や経験的分析の継続も行う。また、構築している理論を踏まえた、サービスデザインの取り組みも平行して実施し、デザイン方法論の開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に想定していた論文英文校閲が間に合わず、延期となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
計画通り、論文校閲を依頼する。
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