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2014 年度 実施状況報告書

STAT3スプライシングアイソフォームの発現制御、及びその生理機能に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26870308
研究機関京都大学

研究代表者

正木 聡  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70711977)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードスプライシング / シグナル伝達 / スクリーニング / 化合物ライブラリー
研究実績の概要

がんの悪性化に寄与する多機能分子STAT3に着目し、STAT3のスプライシング反応の制御、及び、スプライシングアイソフォームの機能差の解明を目的として実験・解析を行った。
STAT3には、いわゆるSTAT3とみなされているαタイプと、“マイナー”であるβタイプが知られている。まずは、これらのアイソフォームを生じさせる根本であるスプライシング反応の制御機構を解明することに取り組んだ。STAT3のスプライシングスイッチを簡便に検出するため、ミニ遺伝子レポーターを作製した。スクリーニングに応用するため、レポーター遺伝子を安定発現させた細胞株を樹立し、化合物ライブラリーを用いたスクリーニングを実施した。その結果、STAT3のスプライシングパターンをαタイプからβタイプに傾ける候補化合物を得た。候補化合物の薬効分類から、細胞内でSTAT3βが優位になる生理的意義についても有意義な知見を得ることができた。「スクリーニングからのスプライシング機構の解明」という目標の律速段階となる候補化合物の獲得まで達成することができた。また、RNA結合タンパク質ライブラリーを用いたスクリーニングについても、実験系の確立が完了しており、順次、実施予定である。
さらに、各アイソフォームの発現ベクターを実験目的別に作製した。今後の解析で活用する予定である。実験ツールの作製と並行し、STAT3α・βの機能差を明らかにするため、シグナル伝達におけるSTAT3βの機能について解析・検証を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の目的で示した、STAT3のスプライシングスイッチ制御の解明については、スイッチを制御する候補化合物を獲得しており、今後の検証実験・標的の探索も順調に進捗する見込みである。アイソフォーム間の機能差については、必要となる実験ツールの作製は完了しており、こちらも円滑に検証実験に取り組めている。

今後の研究の推進方策

スクリーニング結果より得られた候補化合物について、レポーター遺伝子のみならず、内在性STAT3のスプライシングを制御できるか検証実験を行う。また、RNA結合タンパク質ライブラリーを用いたスクリーニングについても準備が完了しており、スプライシングを制御する分子の同定を試みる。これら2つのスクリーニングから得られた結果を起点にSTAT3のスプライシング調節機構を解明する。
さらに、STAT3βの生理的意義についても、樹立した細胞株を含め、準備した発現ベクターなどのツールを活用し、シグナル伝達におけるSTAT3βの機能を明らかにする。
STAT3βの発現が上昇するメカニズム・生理的意義の双方向からアプローチすることで、STAT3βを中心とした新たながん治療戦略を提起したい。

次年度使用額が生じた理由

新たな実験系での解析を検討していたが、年度末に差し掛かったため、予算執行のタイミングを考慮し、次年度に実施することにした。また、高額な物品・消耗品を購入する際、対象商品がキャンペーン期間であったことや、日常的に複数の業者から見積もりをとることで最低価格のルートで物品を購入している。その日々の積み重ねが、残高を生じさせたと要因の一つと考えている。

次年度使用額の使用計画

計画した実験を遂行するために、次年度分の物品費と合わせて予算を使用する。

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公開日: 2016-06-01  

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