種々の生体応答反応の伝達を担うSTAT3のスプライシングアイソフォーム(αタイプとβタイプ)に着目し、そのアイソフォームを生じさせるスプライシング反応の制御、及び、各アイソフォームの機能差の解明を目的として解析を行った。 最終年度で得られた結果として、STAT3αとβの細胞内制御の相違を見いだした。各アイソフォームの機能差は、αタイプとβタイプの細胞内制御レベルの相違に依存するものであると考えられ、STAT3のスプライシングアイソフォームの発現バランスは、シグナル伝達などにおいて重要な生理的機能を有していることが示唆された。 研究期間の総括として、αタイプからβタイプへのスプライシングスイッチを簡便に検出するレポーターシステムを構築し、化合物ライブラリーやRNA結合タンパク質ライブラリーを用いたスクリーニングを実施した。これらの結果から、βタイプへのスプライシグを増加させる化合物やタンパク質をスプライシング調節因子の候補として得ることができた。今後、こられを詳細に解析・検討することで、STAT3のスプライシングスイッチ機構を明らかする。 本研究は、研究実施計画に則して、STAT3のスプライシングスイッチ機構から各アイソフォームの機能差の解析まで包括的にアプローチすることができた。
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