研究課題/領域番号 |
26870312
|
研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
入江 恵子 九州国際大学, 法学部, 准教授 (10636690)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 医療社会学 / ジェンダー研究 / 性分化疾患 / インターセックス |
研究実績の概要 |
最終年度である本年は、これまで取り組んできた課題である当事者のライフコース研究についての統括を行った。具体的には、当事者が自らの身体状況を受け入れ、新たな仲間や「家族」を通じて社会においてネットワークを構築する過程を明らかにすることを目指した。加えて、これまでアメリカ・イギリス主体でけん引されてきたインターセックス運動において、あらたな萌芽といえる欧州、アジアの当事者の活動について新たに情報収集を開始し、新たな研究課題に着手するための足がかりを得た。 成果としてまず1点目に、これまでに構築したネットワークをさらに広げることができた。それにより新たな調査の場を得ることができた。具体的には、当事者と研究者が共同で開催する集会であり、学術的アプローチと当事者の経験の融合をはかる新しい試みの場である。 成果発表としては、まず、9月にイギリスのサリー大学で開催されたEuroPsi学会(European Network for Psychosocial Studies in Intersex/DSD: After the Recognition of Intersex Human Rights: A MULTIDISCIPLINARY INTERNATIONAL SYMPOSIUM)において、“Identity Politics and Bio-Politics: Intersex/DSD movement in Japan and the U.S.”とのタイトルで学会報告を行った。 論文発表としては、2016年12月に「薬害HIV感染被害当事者の身体の位相」(『九州国際大学教養研究』第23巻第2号)、2017年3月に「医療の介入による「逸脱増幅」の諸相――インターセックスと薬害HIVの事例から」(『九州国際大学教養研究』第23巻第3号)を執筆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年夏に聞き取り調査に協力していただく予定が延期になったため。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年秋に改めて聞き取り調査を行うことが可能になった。データを収集し研究を進めたい。 また、2017年の9月には当事者も多く参加する学会に参加・発表予定があり、その際に論文執筆に必要なデータを収集する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2016年度夏に予定していた調査が、協力者都合によりとりおこなうことができなくなったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
2017年度秋に改めて調査に協力いただけることになったため、そのための渡航費、資料収集の費用にあてる。
|