研究課題/領域番号 |
26870314
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤原 幸一 京都大学, 情報学研究科, 助教 (10642514)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 迷走神経刺激(VNS)療法 / てんかん / 脳波解析 / 経験的モード分解(EMD) |
研究実績の概要 |
難治性てんかんの治療法の1つに迷走神経刺激療法 (Vagus Nerve Stimulation; VNS) がある.VNSは手術で胸部に植込んだデバイスにより左頸部迷走神経を電気刺激することで,てんかん発作の回数や症状を軽減する緩和的治療法であり,2年間の治療継続により半数の患者において発作回数が半減すると報告されている.しかし,その作用機序は未だ解明されておらず,患者に対し装置の植込み手術以前にVNSが有効かどうかを判断できないため,場合によっては植込手術が無駄になるという問題があった.そこで本研究では,VNSの作用機序解明に向け,VNS施行患者の臨床データ解析を行った.解析対象データはVNS施行患者の脳波 (Electroencephalogram; EEG) である.本研究では,脳活動を反映したEEGにVNSによってどのような変化が現れたのかを調べ,VNSの作用機序解明につながる知見を得ることを目的とした.まず,信号処理手法の1つである経験的モード分解 (Empirical Mode Decomposition; EMD)を用いてEEGを複数の狭帯域信号である固有モード関数 (Intrinsic Mode Function; IMF) に分解し,その瞬時位相を計算した.EEGの同期度を評価する指標として位相同期度 (Phase Locking Value; PLV) を用い,平均PLVとPLV平均変化量をスカルプマップ上でトポロジカルマッピングした.その結果,刺激中のγ帯域の同期度の増加や,刺激後のVNSによる効果の持続,同期度の低い部位における同期促進など,既存研究と一致する知見が得られた.また,刺激中にHigh-γより高い周波数帯域の同期度が低下するという新たな知見が得られた.本研究で得られた知見は,VNS作用機序解明につながると期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は臨床で採取されたVNS施行患者の脳波を解析し,その作用機序の一端の解明を目的とするが,VNSは本邦で保険適用になって日が浅く,十分な症例が集まっていない状況である.本研究は採取済みの少数のデータを用いて解析を行い,一定の成果は見たものの,データ不足のために検証が十分にできない状況である.
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今後の研究の推進方策 |
VNSの症例がどこまで増えるかは臨床現場の問題であるため,こちらでは対処できないが,新たな症例が発生次第,速やかにデータを採取し,今後の解析のためのデータを蓄積する予定である.
一方で,これまでは主にEMDを用いてVNS施行患者の脳波データ解析を行ってきたが,今後は現在採取済みのデータに対してもコネクティビティ解析など,別の解析手法もトライすることで,採取済みデータの範囲内においても,新たな知見が得られるように解析を進めて行く予定である.特に,VNS施行前後の脳内ネットワーク変化の確認を当面の目標とする.
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