本研究は,米国の連邦政府と地方政府の歴史的資産登録制度が有する,政策的な内部効果と外部効果を検証している.具体的には,独自に開発した近隣動向を反映した固定効果モデルと空間混合モデルを用いたリピートセールス・ヘドニックアプローチの推定を通じて,次の各点において学術的進展をもたらしている.それは,歴史的資産登録という政策がもたらす内部効果と外部効果の同時特定,連邦政府と地方政府による異なる登録制度の効果比較,歴史的資産が有する遺産効果からの政策効果の分離,空間的依存性とヘドニック価格の動向に対して頑健なモデルの推定の大きく4点である.
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