研究実績の概要 |
1962年から50年近く軍事政権下にあったミャンマーでは、2011年3月に民政移管が行われ、新政権のもとで自由化・民主化に向けた政治経済改革がすすんでいる。本研究は、現在のミャンマーにおける自由・民主化と国軍の組織的利益との関係を、安全保障政策と政治志向の2点から考察し、同国の体制移行の方向性を明らかにするものである。調査では本年度は2度のミャンマーへの出張を実施し,現地での資料収集およびインタビュー調査等を行った。成果は以下の2点である。第1に、総選挙のキャンペーンに同行し、選挙運動時の与野党と国軍の関係や、各政党の公約における国防政策について具体的に知ることができた。第2に、現地の調査NGOの協力を得て、第1期議会における国軍代表議員の発言内容およびその量的なデータを入手した。執筆では上記調査の成果も利用しながら、現政権下の政軍関係を独立以来の長期的な変化のなかに位置づけた論考「国軍と政治ー軍事政権の時代は終わったのか」(阿曽村邦昭、奥平龍二(編)『ミャンマー 国家と民族』古今書院, 2016, pp.392-406)を執筆した。
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