研究課題/領域番号 |
26870321
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小金丸 聡子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40579059)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歩行 / 脳卒中 / 経頭蓋直流電流刺激 / 末梢神経筋電気刺激 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、錐体路障害による下肢麻痺を呈する神経疾患患者において、侵襲的中枢・末梢神経刺激を組み合わせる新たな手法で錐体路にかわる代償経路を活性化させ、歩行機能を再建し、機能再建のメカニズムを解明することである。 本年度は、慢性期脳卒中患者、6名において、非侵襲的脳刺激(経頭蓋直流電流刺激)による障害側脳刺激と歩行周期に依存した末梢神経筋電気刺激を用いて、介入を行った。 本年度は、クロスオーバーにて、患者群を無作為に2群に割り付け、(a)歩行訓練と、非侵襲的刺激の組み合わせ、及び対照実験として、(b)歩行訓練のみ、の計2種類の介入を行い、各介入での効果を継続した。 非侵襲的刺激法としては、経頭蓋的直流電流刺激(Transcranial Direct Current Stimulation: tDCS)を用いた。この刺激は、動物実験において直流電流を脳に与えると神経細胞の膜電位の変化に応じて、陽極刺激で発火頻度の増大、陰極刺激では低下が見られる。また、直流刺激の持続時間が5分以上の場合には、刺激後の1時間以上、発火頻度の変化が認められ、LTP/LTDと類似した可塑的変化が生じるものである。同様に微弱な直流電流をヒト頭皮上から与える手法にて運動皮質の興奮性を変化させることできるとされている。 介入の効果であるが、歩行訓練のみの場合でも、下肢機能の変化はあったが、刺激を組み合わせた場合は、より長期に、機能の改善が認められた。 また、電気生理学的評価により、組み合わせた場合のみ、障害側運動皮質での皮質脊髄路の興奮性が高まることもあった。次年度は、さらに患者数を増やし、長期の介入を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
錐体路障害患者である、脳卒中患者において、予定通り介入を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、リクルートする患者数をさらに増やし、より長期の介入を行っていく予定である。
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