本研究の対象は、近代日本の都市に存在した物産陳列所や商品陳列所と称した勧業を目的とした公立の常設陳列施設(いわゆる陳列所)である。都市ごとに異なる陳列所の容態は同地の都市経営ビジョンが都市空間へ表出した局面であろうという認識から、施設の立地環境や設備などの空間的変容と、活動や関係者を通時的に把握し、それらと都市経営との相関関係を明らかにすることを研究の目的とした。とくに施設が移転した事例に着目し、公園等の領域内での移転、都市内での移転、別の都市への移転に分類して調査分析をおこなうとともに、陳列所関係者が参照していたフィラデルフィア、ブリュッセル、シュツットガルトの事例について調査した。
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