研究課題/領域番号 |
26870324
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研究機関 | 東海学院大学 |
研究代表者 |
安達 悠子 東海学院大学, 人間関係学部, 講師 (40629945)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リスク認知 / 医療 / 一般人―専門家比較 |
研究実績の概要 |
本研究は,一般人と専門家(医療従事者)とが医療行為に対して抱くリスク認知の相違を明らかにすることを目的とする。また,一般人と専門家のいずれにおいても若年,中年,高年齢層をそれぞれ対象にすることで,年齢層によるリスク認知の違いを明らかにすることを目指す。 本年度は,昨年度に一般人である大学生および専門家である看護師を対象に実施した質問紙調査のうち自由記述の回答に対して,調査対象者ではない複数の医療従事者の協力のもとで質的分析に取り組んだ。大学生と看護師の回答を比較し,医療行為に伴う危険に関して大学生は“危険はない”や“わからない”,看護師“危険はある”がという判断が相対的に多いことが明らかとなった。また,想起された危険の内容として,大学生では漠然とした否定的な感情の記述,当該医療行為で対象になる部位と直結した記述,見た目への記述,極端な記述等が見られた。それに対して看護師では心身に生じる症状に関する記述,二次的な影響の記述等が見られた。また,状況や環境等の外的な要素に着目した記述では,大学生は小型器材や薬剤を用いる医療行為で有害事象の発生を懸念することが多いのに対し,看護師は専用機器に依存する医療行為での懸念が多かった。これらは患者―医療従事者間の円滑な医療コミュニケーションに向けて具体的提言として活かしうるものである。次年度は,中年,高年(いずれも非医療従事者)と専門家(医療従事者として看護師,医師,薬剤師の調査データに関し,データ整理ならびに量的・質的分析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自由記述の設問に対して多数かつ多岐にわたる回答を得られ,その整理および分析に当初の見込みより時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は大学生と看護師を対象とした調査で収集された自由記述の回答の整理および分析を行うことができた。次年度は,中年・高年齢層への調査で収集されたデータの整理および分析を量的および質的両方の観点から進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの整理および分析を優先して調査を一部見送ったために調査実施にかかる費用が浮いたため。また,出張の多くが近隣で済んだことから旅費が予定より安価に抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
一部見送った調査の実施および成果発表に使用することを予定している。
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