研究実績の概要 |
ビッグデータ解析のために収集された情報は3V(high Volume, Variety and Velocity)と呼ばれる特徴を持つ。この情報を解析するためにクラウドコンピューティング環境などの巨大な計算資源に転送する場合、その転送コストは無視できない.ここに広域分散処理基盤、現在的な用語で言えばエッジコンピューティング基盤で処理する動機付けがある。この広域分散処理基盤への通信を効率化するのが本研究の目的である。提案手法は広域分散処理基盤の全拠点のネットワーク情報を随時収集してスーパーノードが経路制御表を決定し配信する中央集権型の手法と、広域分散処理基盤の各拠点に設置されたノードが相互に通信し合い局所的な決定の総体として経路制御を実現する自律分散型の手法を双方を混交された方式である。 平成28年度においてはシミュレーションによる評価と実ネットワーク環境での評価を行うことを計画した。中央集権型の手法においては準最適解の探索に要する時間を短縮することが課題であった。北海道大学アカデミッククラウド上の仮想計算機上で行われた20ノードの3種類のトポロジにおけるシミュレーション評価において、探索手法の計算方法の改善により情報集約から10秒未満で経路制御表を作成することができることを示すことができた。実ネットワークの評価ではxFlowを用いてサンプリング結果を根拠としたネットワーク情報の収集を当初検討していたが、libpcapを用いた全パケット調査による分類が現実的なスループットで提供できることを示し、これを用いて自己組織化マップを作る実証実験を行った。 これらの準最適解探索エンジン、中央集権型スーパーノードサービス、自律分散型ノードサービスのソースコードをGitHubで公開した。
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