研究実績の概要 |
高齢者施設入所者51名(男性14名、女性37名、89.2±6.0歳)について、食形態と誤嚥の頻度について調査を行った。その結果、食事中あるいは食後にむせを起こす者の割合が60.7%であった。食形態についても43.4%の者が常食以外であり、味覚検査を行う場合に誤嚥のリスクがあることが示唆された。 把持部分が備えられた濾紙(無味ソルセイブ,ADVANTEC)に規定の濃度の溶液をしみ込ませ、乾燥させたもの(甘味:スクロース; 0.2g/ml, 0.4g/ml 塩味:塩化ナトリウム; 0.05g/ml. 0.1g/ml 酸味:クエン酸; 0.2g/ml, 0.1g/ml 苦味:塩酸キニーネ; 0.0012g/ml, 0.006g/ml)を用いた。最初に、名前と年齢、生年月日を答えてもらうことおよび医科の既往により認知症を分類した。そのうち、味覚試験を行い、回答が不能なものを除外した。正しく回答ができたものについては1点とし、スコア化を行った。口腔内については歯肉の炎症、食渣の残存が著しく認められるものについては口腔衛生不良とした。認知症があるものについては検査が続行できないものと検査が可能なものがほぼ半分であり、認知症の進行度によっては検査が可能であることが示唆された。また、口腔衛生不良群が良好群と比較して味覚スコアが低い傾向が認められた。
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