研究課題/領域番号 |
26870336
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
浅野 豪文 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30552476)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光刺激 / 細胞分化 / チャネルロドプシン / 細胞内イオン動態 / 遺伝子発現 |
研究実績の概要 |
本研究は細胞膜を介するイオン輸送を制御することにより、細胞内イオン動態と細胞応答機構の連関を理解することを目的とする。申請者はこれまでに光受容イオンチャネルであるチャネルロドプシン(ChR)遺伝子を導入し、骨格筋細胞の収縮活動と成熟を光で制御できることを明らかにしている。未分化な細胞が活動依存的に分化・成熟することが哺乳類視覚系や体性感覚系などで明らかになっており、幹細胞の分化においても初期発生過程同様の活動依存的な調節機構が働いていると考えられる。初年度は光刺激に対する細胞応答を検証するために、間葉系幹細胞である筋細胞を対象に初期の分化マーカーであるMyoDやmyogeninなどの転写因子の解析を行った。その結果、刺激に応じた遺伝子発現の変化が確認された。その効果はChRを発現する細胞のみに特異的であり、光照射による細胞毒性についても観察されなかった。また、コントロール群と比較して細胞の形態や大きさに違いが確認された。そこで、細胞融合に関与する遺伝子を調べたところ、これまでに報告されていなかった外部刺激に対する変化が認められた。我々の先行研究より筋分化の後期過程において、一定の周期的なリズムを持ったパターン刺激が細胞の成熟(細胞内収縮構造の構築促進)に重要であることを見出していることから、刺激条件の検討を行った。様々なパラメータを検討した結果、より効率的に分化を誘導できる条件の絞り込みによる最適化ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において安定発現株の作製と光照射培養システムの構築を行い、技術的な課題は解決することができた。また刺激条件および指標となる分化マーカーの探索に関しても進行しており、計画はおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度において、筋分化マーカーであるMyoDやmyogeninなどの転写因子が光刺激によって誘導されることを見出した。27年度は多分化能を持つ骨髄間葉系幹細胞に対象を拡大し、様々な周波数や持続時間、強度のパラメータの光照射による律動性/非律動性の生理的刺激を与え、細胞形態や遺伝子発現、タンパク質量、電気生理特性などを指標に形態的、機能的な側面から細胞応答機構を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
標的となる筋細胞マーカー遺伝子の絞り込みが順調に進み、q-PCRの整備を初年度に当初予定していたが、次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
多数の候補の転写因子やケモカインの探索を行うため、定量解析が可能なq-PCR装置を整備する。遺伝子組み換えや細胞培養などの試薬類、研究成果の発表として、論文校閲・投稿費、学会参加のための旅費に使用する。
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