本研究の目的は、転移性脳腫瘍モデルにおいて、原発巣からの腫瘍細胞の転移を生体イメージング技術により非侵襲的に評価することである。乳がんおよびメラノーマ腫瘍から転移性脳腫瘍モデルを作成し、原発巣および転移巣の増殖・遊走・浸潤・転移のそれぞれの段階で、11.7T-MRI、小動物用1.5T-MRI 、Micro-CT、蛍光イメージングなどの複数の生体イメージング技術を用い、非侵襲的な評価を行った。具体的には、Mn 造影剤が腫瘍細胞増殖をどのような条件で反映するか評価し、腫瘍の増殖能イメージングを確立すること、酸化鉄ナノ粒子・マンガン造影MRIを用いた腫瘍細胞の標識を行い、マトリゲルやラミニンなど細胞基底膜構成物質を用いたin-vitro実験および担がんモデルマウスを用いた腫瘍浸潤能・遊走MRイメージング技術を確立すること、転移性脳腫瘍モデルを作成し、超高磁場11.7T-MRIを用いた各種MRI撮影技術を用いた転移巣の微細構造の検出、高磁場MRI を中心に小動物用1.5T-MRI、蛍光イメージング、PET、Micro-CTを用いて、脳を含めた肺や全身の転移巣の検出を行った。本研究によりMRIを用いてMn 造影剤の腫瘍への取り込みが腫瘍細胞増殖を反映することを明らかにした。また酸化鉄ナノ粒子・マンガン造影MRIを用いた腫瘍細胞の標識を行い、マトリゲルやラミニンなど細胞基底膜構成物質を用いたin-vitro実験により、細胞膜への浸潤過程を画像化することが可能となった。転移性脳腫瘍モデルでは、超高磁場11.7T-MRIを用いた撮影技術により100μm以下の分解能で転移巣の微細構造検出が可能となった。前臨床研究における転移性脳腫瘍モデルの転移を生体イメージング技術により非侵襲的に評価することが可能となった。
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