バイオマスエネルギーと生態系サービスの需要が同時に進展する状況下において、バイオマス資源の全体最適な供給システムを設計するためには、川上の自然生態系から、最下流の最終処分までのバリューチェーン内で、バイオマス物質循環を基本構成要素である炭素(C)・窒素(N)・水(H2O)がどのプロセスでどのように循環しているかを記述できるモデルで表現し、外圧への応答や技術システム更新、制度設計による利得を評価可能なモデルの設計が求められている。 そこで本研究ではDPSIR構造に従って、バイオマス生産から原料バイオマス、製品バイオマスおよび副産物・残さ、民生バイオマス消費、廃棄物系バイオマスおよびバイオマス由来サーマル・マテリアルリサイクル、最終処分に係る一連のバイオマス物質循環プロセスを表現可能なモデルを構築する。さらにこのモデルをコアとして、様々な空間スケールや発展度の異なる地域で適用可能となるようにモデル構築支援環境(バイオマス物質循環プロセスコアモデル)を開発した。 また木質バイオマスの高度利用に注目した地域スケールのケーススタディでは,森林施業による森林生態系炭素固定量の増加と社会での木質バイオマス利用による炭素固定量と化石燃料代替効果の増加を統合することで,木材生産・利用システムの全体最適化を支援するためのシミュレーションモデルの開発を行った.またバイオマスエネルギーと他の再生可能エネルギーを連携させた地域スケールでの再生可能エネルギーミックスの多目的最適バランスの計算モデルを開発した.
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