研究課題/領域番号 |
26870352
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 敦 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 講師 (00622482)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ルクセンブルク / 言語教育 / 言語政策 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、26年度に引き続き、マイノリティの言語的人権や複言語教育のあり方、言語教育に関する理論的背景のまとめを行いつつ、ルクセンブルクにおける移民に対する教育現場レベルでの工夫を見た。特に、昨年度の小学校に続き、中学校・高校(リセ)での取り組み、先生の意見などの調査を行った。 5月に行われた日本独文学会では平成26年11月~12月、27年3月に行った調査をもとに、ルクセンブルクに来たばかりの生徒のための受け入れ授業、およびドイツ語を苦手とする外国籍の生徒のための支援授業の様子について、ルクセンブルクの言語教育政策における位置づけに関係づけて発表した。11月の大阪大学ドイツ文学会では、さらに言語政策および言語意識の歴史と関連づけて、本研究の成果を発表した。 平成28年2月および3月にルクセンブルクに滞在し、文献および現地調査、現地の研究者との意見交換を行った。調査では昨年度に引き続いてルクセンブルク市内のCents小学校の支援授業、および識字教育を見学した。さらに、中学校・高校で外国籍の生徒が多数を占める複数のクラスを見学し、さらに教員の意見などを伺った。媒介言語は原則ドイツ語でなければならないが、実際にはルクセンブルク語、さらにはフランス語も用いることが現実的な解決策として模索されている様子などについて知ることができた。 本滞在では、外国人支援にあたっている団体であるASTIも訪問し、子どもへのさまざまな支援について多くの話を伺うことができた。ASTIは家庭や教育現場で捉えきれない問題を扱う役割を担っている。その社会的な意義についても今後大いに研究が必要となるが、今回のインタビューではそのための大きな示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究はおおむね順調に進展しているが、ミクロな視点での調査に重点を置いてきたために、マクロな視点、すなわちルクセンブルクの政権交代後の言語教育政策のあり方に関する調査や分析がやや遅れがちであった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、3年間の集大成として、外国人政策(統合政策、人権政策)についてマクロおよび政治的な視点から分析を行う。また、これまでに行ってきた学校でのインタビュー調査のフォローアップを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月の調査出張の際、発送費用などの面で見込みほど経費がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度の調査出張ではより多くの文献を日本に送るほか、運賃の高い時期の渡航を計画しているので、生じた次年度使用額はすべて必要となる。
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