研究課題
ファンコニ貧血原因遺伝子産物の一つであるFANCD2は、DNA鎖間架橋損傷の修復および細胞応答に機能する重要な因子である。申請者は前年度までにFANCD2が、TNF-αおよびシクロヘキシミド(TNF/CHX)処理によって誘導されるDNA損傷非依存的な細胞死誘導を負に制御する可能性を見出した。さらに、この現象の普遍性を以下の方法で検証した。(1)U2OS細胞を用いて野生型FANCD2(wtD2)を過剰発現させた細胞株を樹立し、TNF/CHX処理による細胞死誘導に対する感受性を調べた結果、親株となるU2OS細胞に比べ、wtD2過剰発現細胞が有意に細胞死誘導に対して抵抗性を示すようになった。(2)U2OS細胞に対してRNAiにより内在性のFANCD2の発現抑制を行ったところ、TNF/CHX処理による細胞死誘導に対して有意に感受性を示すようになった。(3)FANCD2はDNA損傷応答においてFANCIと呼ばれる因子とヘテロ二量体を形成して機能することが知られている。FANCI欠損細胞でも上記(1)(2)と同様の解析を行った結果、FANCIに関してもTNF/CHX処理によって誘導されるDNA損傷非依存的な細胞死誘導を負に制御している可能性が見出された。これらの結果によって申請者が見出した現象の普遍性が示された。また、前年度より引き続き行っていたFANCD2の関与する細胞死制御機構に関わる新規相互作用因子の探索に関しては、FANCD2を含む複合体の分離・精製、及びその構成成分の質量分析による網羅的解析を行った結果、多数の新規候補因子が単離された。これらの因子に対して遺伝子オントロジーに基づいたパスウェイ解析を行うなどして、さらなる解析を進めている。
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