研究課題/領域番号 |
26870358
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
古谷 真樹 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (10725998)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 睡眠 / 生活リズム / ストレスコーピング / こころの健康 / 小学生 / 中学生 |
研究実績の概要 |
国立大学附属小学校および中等教育学校の児童・生徒を対象とした、ストレス低減と生活リズム改善を行う健康教育プログラムの効果の検討を行った。平成27年度に実施した健康教育プログラムについて、実施期間中(小学校は6週間、中学校は3週間)の生活リズムや心身健康等の短期的な変化を分析し、プログラムの効果と問題点を検討した。実施期間中の変化として、次の結果が得られた。小学生では、プログラム実施前に比べて、実施期間中のストレス度は週を追うごとに低減し、顕著な改善が示された。一方で、生活リズムには大きな変化が示されなかった。この理由として、ストレスに関する授業では、アクティブラーニング形式であったため、子ども達が主体的に考えることができ具体的な対処法を獲得した可能性が考えられるが、睡眠や生活リズムに関する授業では、講義形式のみ、かつ振り返りに十分時間を割くことができなかったことが要因であると考えられた。中学生においては、睡眠と生活リズムに関する授業後の週は、就床時刻が早まり睡眠時間の延長も見られたが、ストレスに関する授業後には元に戻っていた。 以上の結果から、講義形式は知識の獲得には有用であるが、行動変容には至らないことが確認された。したがって、講義形式だけでなくアクティブラーニング等で子どもたちが主体的に考えられるような授業の形式をとることが重要である。さらに、毎回短時間でも生活を振り返り、生活リズムに対する注意を持続させることも必要であると示唆された。 平成29年度は、対照群として健康教育プログラムを受けていない同学校の同学年の児童・生徒と比較し、本プログラムの効果と課題をさらに詳細に検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健康教育プログラムの効果検証をプログラム実施期間中の短期的な変化と実施前後半年の長期的な変化から検討を進めている。日誌および調査データの解析が進み、プログラムの効果と改善点が明らかになりつつある。これらの結果を国際学会および教育委員会主催のシンポジウムで発表した。 授業で簡便に使用できるリーフレットの作成については、さらに結果を整理した上で作成する必要があるため、次年度の課題とする。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、対照群として健康教育プログラムを受けていない同学校の1つ下の学年と比較し、本プログラムの効果と課題をさらに詳細に検討していく。これらの結果に基づいて、授業で簡便に使用できるリーフレットを作成し、自己コントロールを促すツールにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文を執筆し、国際紙に投稿する予定だったが、研究計画の見直しにより先送りとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の精度を高めるために、同じ教育環境のプログラム実施群から1つ下の学年を対照群として追加調査を行い、実施群と比較した結果を論文投稿する。
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