ストレス低減と生活リズム改善を行う健康教育プログラムの効果を検討するために、対照群を設け比較検討を行った。その結果、本健康教育プログラムを受けた児童・生徒はプログラムを受けていない児童・生徒よりも心身の自覚症状が3倍抑制されていたことが示された。入眠潜時の短縮や寝床で悩まないなどの行動変化も示されたが、生活リズムの改善には至らなかった。 本プログラムは3コマを利用するプログラムであり、授業時間を確保することが難しい場合が考えられる。そこで、ストレス低減を目的とするプログラムと生活リズム改善を目的としたプログラムに分けて実施できるように改善を試みた。ストレス低減については2コマで実施可能であるが、生活リズム改善についても2コマで完結できるプログラムを養護教諭と協同で考案した。結果、できるだけ規則正しい時間に寝起きし、睡眠時間を確保しようとする行動が増加した。このことは、テーマを絞ったために、何をすることが健康に望ましいのかが明確になったためと考えられる。これらの結果から、テーマごとに独立したプログラムを行う方が目的がより明確となり行動変容に結びつきやすいと示唆された。心身の健康はストレス対処を含めた生活全体によって形成されていることをどのように伝えかが本研究の課題として残された。 最終年度である本年度は、これまでプログラムで使用したスライドや資料を学校現場で簡便に使用できるパンフレットにまとめ、普及のためのツールを作成した。さらに、保護者を対象とした講演会を開き、生活リズムやストレスなどの現状の共有とともに保健授業で行っている学校での取り組みを紹介し、保護者の関心の向上とサポート源の育成にも取り組んだ。
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