本研究の目的は、鉄腐食性メタン生成菌において見つかった新奇ヒドロゲナーゼの機能と構造を明らかにすることであった。残念ながら、精製および立体構造決定には至らなかったが、本酵素に由来すると思われる水素発生条件の最適化と統合計算ソフトを用いた立体構造のシミュレーションを行った。至適水素発生条件は、本菌の生育条件とよく一致していた。また、立体構造のシミュレーションから、スモールサブユニットが特に既知ヒドロゲナーゼと異なり、金属材料からの電子伝達に機能していると推定された。今後は、非腐食性メタン生成菌を用いた異種発現系の確立とスモールサブユニットに焦点を当てた電気化学的解析を行う予定である。
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