本研究は、カザフスタンの人びとの生活に深くかかわっている地域の市場(バザール)と生産者の関係に焦点を当て、経済のグローバル化による地域市場の変容が地域農業や土地利用にどのような影響を与えたかを明らかにすることを目的としている。そのために、本年度は以下の項目を実施した。 1. 衛星データ解析: USGS(米国地質調査所)から無償提供されている衛星データを取得およびPleiades衛星データを購入・分析し、土地利用変化を時系列で把握した。結果、現地調査に基づく市場の変化と土地利用変化を対比することができた。 2. 現地調査:初年度の成果を受け、南カザフスタン州シムケント及び周辺を訪問し、都市および地方農村の市場内の小売店、卸売業者、その取引先の農業生産者を対象とし、現在の農作物の生産・販売状況、輸入農作物の仕入れ・販売状況に関するインタビュー調査を実施した。結果、初年度の成果と合わせカザフスタン南部(南カザフスタン州、ジャンブル州、アルマトゥ州)における輸入・地場産青果物の流れの実態が明らかになった。また、取扱い青果物やその産地の時期による変化や、輸入青果物増加後の産地シフト、市場変化を受けて地元農業生産者が施設栽培導入に踏み切る経緯、経済のグローバル化にともなう市場と地域農業の変容の実態を面的に明らかにすることができた。 4. 成果公開: 研究成果の一部については、日本沙漠学会第26回学術大会、第1回中央ユーラシア「開発と物流」研究会で報告したほか、日本沙漠学会第27回学術大会においても報告予定である。また、片倉もとこ記念沙漠文化財団が主催する一般向けのサロンにおいても報告を行った。
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