研究課題/領域番号 |
26870370
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
上沼 睦典 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (20549092)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱電発電 / 薄膜 / ナノ構造 |
研究実績の概要 |
熱から電気エネルギーを取り出す熱電変換素子について、ナノ構造制御による高効率化を目標としている。初年度はナノ構造制御および薄膜熱電物性評価装置の立ち上げ、さらにナノ構造埋込膜評価を行った。ナノ構造を形成する基礎材料となる生体超分子の機能化を行い、ナノ粒子の分散配置について評価を行った。これまで平坦な基板上でのナノ粒子配置を実現してきたが、さらに、溶液塗布方法を変更することで凹凸表面や粉末上へのナノ粒子分散配置を実証した。 また、薄膜の熱電特性を評価するために3オメガ法の立ち上げ、さらに電気伝導率およびゼーベック係数の測定環境を整えた。YSZ基板上に薄膜を形成することで正確に熱伝導率が測定可能であることが明らかとなった。 BiTe系薄膜へのナノ粒子埋込を行い熱電性能測定した結果、電気伝導率は低下したが、ゼーベック係数の増加によりパワーファクターで評価した熱電性能の向上が見られた。また、将来の身近な場所での応用を考えて、透明・フレキシブル化が可能な酸化物系材料に注目し、まず酸化物薄膜の基礎的な熱電特性評価を行った。成膜時の酸素流量を調整しキャリア密度を制御したサンプルを作製し、熱電性能が最大となる条件を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ構造形成の基礎となるナノ粒子複合体の形成や分散配置については、配置制御可能であることが明らかとなり、計画通りに進展している。また、薄膜熱電性能のうち熱伝導率を評価する方法である3オメガ法については、装置の立ち上げが終わっている。電気伝導率とゼーベック係数測定についても評価方法を確立し、薄膜材料においては、理論通りの測定値が得られている。Bi系材料から酸化物系材料に変更したが、材料組成の最適化と理論解析は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
得られたナノ粒子分散配置方法と薄膜の熱電物性評価装置を用いて、制御されたナノ構造よる熱電物性への影響を調査する。材料には酸化物系材料を用いて、ナノ構造の埋め込みとその効果について実証を行う。 また、ナノ構造により最適化した薄膜熱電変換素子の発電デモンストレーションを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より順調に進み、実験に必要な基板などの材料使用量が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度の実験における消耗品に利用する。
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