研究実績の概要 |
(1)シクロデキストリンを架橋点に有するナノゲル及び比較実験用ナノゲルの創製 低分子量のキトサンを主鎖にいて、シクロデキストリン(CD)を高分子ネットワーク内に含む構造を有するナノゲル(CD架橋型ナノゲル)の調製を行った。β-CD架橋剤として多置換のカルボキシメチル化β-CDを調製し、キトサンとの脱水縮合反応を行った。ここでは、β-CD架橋剤のカルボキシメチル基の置換度や原料比(キトサン/β-CD架橋剤)を変え、粒径の制御を検討した。その結果、平均置換度を3に調整したβ-CD架橋剤を用いて、同重量のキトサンと脱水縮合反応を行うことで、平均粒径が約100 nmの目的のナノゲルが得られることが分かった。また、比較実験用のナノゲル調製に用いるβ-CDグラフトキトサンも1置換のカルボキシメチル化β-CDを用いて同様に脱水縮合反応を行うことで得られた。このβ-CDグラフトキトサンとトリポリリン酸とを複合化することで、目的の比較実験用ナノゲルが得られることも確認した。また、α-, γ-CDを用いても、β-CDを用いる系と同様にナノゲルが得られることも分かった。 (2)包接能力の確認 抗がん剤であるドキソルビシンを用いて包接能力の確認を行った。その結果、調製したナノゲルは全て、α-,β-, γ-CDと同程度の包接能力を有していることが確認された。特に、γ-CD架橋型ナノゲルが良好にドキソルビシンと包接錯体を形成した。
|