研究課題/領域番号 |
26870375
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
小野田 慶一 島根大学, 医学部, 講師 (60432712)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アパシー / 安静時fMRI / VBM / 前頭基底核回路 |
研究実績の概要 |
アパシーとは動機づけが欠落し,目標志向的行動が減少あるいは消失した状態を指す。アパシーは高齢者や神経疾患患者において高頻度で認められ,前頭前野や基底核の障害で起こる。アパシーの病態とその機序を解明することは,動機づけの解明につながる。本研究では,アパシーが前頭-基底核回路の障害を基盤としていることを複合的MRI 研究により明らかにすることを目的とした。 初年度では,安静時fMRIによる機能的結合評価,及びT1構造画像による灰白質密度評価により,高齢者におけるアパシーの神経機序を検討した。安静時fMRIを用いた検討では,脳ドック参加者を研究対象とした。グラフ理論にもとづき,安静時fMRIデータから各脳領域のネットワーク的性質(Nodal efficiency,Local efficiency,Betweenness centrality)を評価し,年齢・性別・抑うつを統制した重回帰モデルによりアパシーとの関連を検討した。Nodal efficiencyは機能的統合の程度,Local efficiencyは機能的分離の程度,Betweenness centralityはハブ機能をそれぞれ反映している。重回帰分析の結果,前帯状回において顕著な関連性が認められ,アパシーの強い個人はNodal efficiency,Local efficiency,及びBetweenness centralityが低下していた。この結果はアパシーの出現と前帯状回の機能低下が密接に関連していることを示している。また,灰白質密度を用いた検討では,基底核の密度減少がアパシーと関連していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では安静時fMRI,課題ベースのfMRI,灰白質密度評価を用いた多面的アプローチによるアパシーの神経機序解明を目指している。初年度では,安静時fMRI研究と灰白質密度研究による成果を得ることができた。課題ベースのfMRI研究に関しては現在若年健常者を用いて課題の妥当性検証を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
安静時fMRI及び構造画像研究では,アパシーを情動障害型と自己賦活不全型に分類し,それぞれのアパシーがどのような脳の変化に起因しているかを検討する。課題賦活型のfMRI研究では課題の作成と妥当性検証を進める。
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