研究課題/領域番号 |
26870380
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
古田 賢次郎 島根大学, 生物資源科学部, 助教 (00575532)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 幼若ホルモン / Methoprene-tolerant / JH拮抗阻害剤 |
研究実績の概要 |
本研究は,近年幼若ホルモン(JH)受容体として同定されたMethoprene-tolerant(Met)を標的としたJH拮抗阻害剤の開発を目的としている。昨年度は,1)新規JH拮抗阻害剤の合成探索および,2)カイコMet(BmMet1およびBmMet2)を用いたリガンド結合試験法の構築を行ったので,それぞれの結果に関して報告する。
1)これまでに抗JH拮抗阻害活性を示すことが示唆されているmethyl 4-{1-(7-benzyloxy-1,4-benzodioxan-6-yl)ethenyl}benzoate(MM-17)をリード化合物として,ベンジルオキシ基,ビニリデン基,p-メトキシカルボニル基の構造改変を行った。合成したMM-17誘導体の生物活性は,カイコ幼虫を用いた早熟変態誘導活性試験および,JH応答配列を用いたレポータージーンアッセイでそれぞれ評価した。その結果,Ethyl 4-[1-{7-(4-methylbenzyloxy)-1,4-benzodioxan-6-yl}methyl]benzoate(KM-05)がどちらの評価系においても非常に高いJH拮抗阻害活性を示すことが明らかになった。
2)ウサギ網状赤血球由来の無細胞発現系であるTNT expression systemを用いて,BmMet1およびBmMet2のgal4DBD融合タンパク質を発現させた後,トリチウム標識したJH III(3H-JH III)との22℃で1時間結合反応を行った。デキストラン被覆活性炭(DCC)を加えてBmMetに未結合の3H-JH IIIを吸着させた後,遠心分離を行い上澄を回収して液体シンチレーションカウンターで測定した。その結果,BmMet1およびBmMet2いずれにおいてもJH IIIとの特異的結合が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高活性なJH拮抗阻害剤候補化合物の発見と,JH受容体Metを用いたリガンド結合試験法の構築は本研究の目標達成には必須である。昨年度の研究において,in vivoおよびin vitro両方で高い活性を示すJH拮抗阻害剤候補化合物NY-05が見出された。また,BmMetにJHが特異的に結合することが確認できたことから,本年度以降にリガンド結合試験によるJH拮抗阻害剤のスクリーニングを実施することが可能である。よって本研究は概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
JH拮抗阻害剤のスクリーニングでは,多くの化合物のJH結合阻害活性を評価しなければならないが,TNT expression systemによって発現させたBmMetを用いる系では,1サンプルあたりの費用が多くかかってしまう。今後はより小スケールでかつ迅速に活性を評価できるように,実験手法について検討する。 また,研究計画の変更等は現在のところ予定をしていない。
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