本研究の目的は,夜間頻尿をもつ高齢者の生活の質を高めるための支援を目指し,看護職(看護師・保健師)にとって実用性の高い,高齢者の夜間頻尿と生活の困りごとを支援するアセスメントシートを開発することであった。 本年度においては,中山間地域で生活を営む比較的ADLの自立した65歳以上の高齢者より回答を得た質問紙調査から明らかとなった次の内容を踏まえ,健診や介護予防活動,外来等で看護職が活用可能なアセスメントシート(案)を作成している。アセスメントの項目には,調査結果の高齢者の9割近くが夜間頻尿以外の別の下部尿路症状をもちあわせていたことや,10の下部尿路症状のうち男性で6つ,女性では4つの下部尿路症状をあわせもつ人が最も多かったこと,排尿に関する気がかりがある人は3分の1程度であり,そのうち半数が医療機関の受診という対処をしていたことをふまえて検討している。また,作成に当たり,先行研究や既存の夜間頻尿や下部尿路症状の症状スコアの内容等も参考にし,在宅領域,高齢者に対する看護を行う看護職や泌尿器科を含めた地域で外来診療を行う医師とディスカッションを重ねている段階である。今後,地域において,完成したアセスメントシート(案)を提示し,活用してもらうことで看護職等に広く意見を聞くことや,夜間の高齢者の睡眠状況など客観的データ等も加えた上で,アセスメントシートの内容について評価を行い,検討を重ねていく。
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