研究実績の概要 |
昨年、イリジウム触媒によるアズレンの炭素-水素結合の脱水素を伴うケイ素化が、他の多環芳香族炭化水素にも適用できることを予備的に見いだした。今回、その詳細を調べた結果、[Ir(OMe)(cod)]2触媒と3,4,6,7-テトラメチル-9,10-フェナントレン配位子存在下、水素捕捉剤として3,3-ジメチル-1-ブテンを用いることで、ほとんどの多環芳香族炭化水素に基本骨格として含まれるナフタレンやアントラセン、ピレンといった構成要素を、効率よくケイ素化させることができた。 一方、アズレンの2位に嵩高いシリル基を導入し、5員環上への官能基導入を封鎖した後、再度イリジウム触媒によるケイ素化反応を繰り返すことで、アズレンの7員環上の6位を優先的にケイ素化できることも見いだした。これらのシリル基は、パラジウム触媒を用いる檜山クロスカップリング反応により、種々の芳香環導入の足場として用いることができた。これにより、2位から6位を結ぶ方向へ伸長しているアズレンの双極子を効果的に強めるための、合成ブロックが合成できた。
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