自己貪食空胞性ミオパチーは主にオートファジー関連の遺伝子異常を有するが,シアル酸合成律速酵素であるglucosamine (UDP-N-acetyl)-2-epimerase/N-acetylmannosamine kinase (GNE) を原因遺伝子とするGNE-myopathyはオートファジーに直結しない遺伝子異常を有することが特徴である.Endocytosis及びearly endosomeからmultivesicular body (MVB) への移行,細胞周期調節にシアリル化糖蛋白MUC1が関連しており,本研究では,MUC1やMUC1の糖鎖であるKL-6などの自己貪食空胞での発現を手がかりに自己貪食空胞形成と筋再生不良に至る過程を詳細に検討し,GNE-myopathyで自己貪食空胞や筋再生不良の機序解明を目指した.病理学的検討では,筋線維でのMUC1の細胞内発現が特徴的であり,MUC1・KL-6の蛋白発現量が減少していた.患者血清での検討では,GNE-myopathyにおいて血清KL-6値が有意に低下しており,これらより,MUC1/KL-6が診断の補助所見となりうる可能性を示した.線維芽細胞での検討では,シアル酸投与により,MUC1およびKL-6が増加することを示し,KL-6がシアル酸代謝を反映していることを示した.
|