研究課題/領域番号 |
26870399
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川崎 健 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (00510299)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 植物病原菌 / 青枯病菌 / ファージ / 分子生物学 |
研究実績の概要 |
青枯病菌との密接な関与が示唆されるRSSタイプのファージにコードされる可変長ORF13(転写制御因子のホモログ)の宿主に与える生理的、病理学的な影響について解析を試みている。 補足情報:ファージRSS1(6662 nt)、ORF13(転写因子ホモログ)非保持。強毒株。ファージRSS0(7288 nt)、完全長ORF13(156 aa)保持。このORF13は複数の長さをとることから宿主への影響を予想している。弱毒株。 26-1-AB:「完全長ORF13'を保持するRSS0(ORF13')ファージの作製」「短縮型ORF13'を持つRSS0(短縮型ORF13')ファージおよび、RSS0ΔORF13ファージを作製」:改変プライマーを用いインバースPCR法により改変ファージ全長をPCR法により取得した。ライゲーション後、エレクトロポレーション法により宿主菌株に導入し、プラークアッセイ法によるプラークの確認、及び改変ファージの単離を行った。改変ファージゲノムDNAを取得し、シークエンス解析による確認を行ったところ、多くの株はポイントミューテーションにより意図しない変異型になっていたが、望む配列の株も取得できた。ただし、意図しない変異型が多数現れる場合、何らかの不都合な現象が起きている場合があり今後の懸念事項である。26-2 ORF13発現プラスミドの構築:lacプロモーター付き完全長のORF13のクローニングはできなかったため、lacリプレッサーを導入し、IPTGでの制御を行えるプラスミドを作製した。26-3 RSS0(ORF13')ファージが病原性を減少させることの確認:26-1Aで作製したRSS0(ORF13')ファージが、RSS0(WT)ファージと同様に青枯病菌の病原性を低下させることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度に予定していた、4項目の内、3項目までは完了しているため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り作製した変異株の宿主への影響を調べる。 具体的には、27-1(26-4AB) ORF13'の変化によるファージの与える宿主病原性の変化について:26-1-Aおよび26-1-Bで作製した、RSS0(ORF13')、RSS0(短縮型ORF13')、RSS0ΔORF13およびRSS1の4種類のファージについて青枯病菌に感染させ、以下の項目について野生株との比較を行う。また、プラスミド導入株についても行う。A 増殖速度。植物抽出液中、CPG培地中。B 運動性。twitching motility、swarming activity。C バイオフィルム形成能、細胞凝集性。D 抗生物質耐性。E タバコ、トマトを宿主とした病原性。植物体の茎に接種、根に接種。F 病原性関連遺伝子群の発現解析(qRT-PCR)。G 宿主域に対する影響。 また、RSS0溶原化株におけるRSS0ファージに対するimmunityについての解析および、溶原化/誘発条件について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
突発的に必要な物が生じた時のために20万円程度残した状態で3月を迎えたが、大きな出費は無かったため、結果として全体予算の3%の10万2883円の持ち越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定通り、50万円以上の大型機器は無し。 試薬類、実験機材類、旅費、投稿料金、実験ゴミ廃棄費用。
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