• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

制約付きマッチング形成問題に関する数理的分析と提案

研究課題

研究課題/領域番号 26870423
研究機関関西学院大学

研究代表者

川崎 雄二郎  関西学院大学, 商学部, 助教 (50708352)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードマッチング理論 / ゲーム理論 / サーチモデル
研究実績の概要

「割り当て人員数」に関しての制約が付与された安定マッチング問題の研究に関しては、一部を残してほぼすべての成果を世に出すことができた。特に、地域などのような複数の主体(病院、学校など)が属するグループに対し、(研修医、学生などの)割り当て人員数の上限値と下限値が定められている場合についての研究成果を記した論文は、計算機科学分野でのトップジャーナル(Artificial Intelligence)に掲載されることとなった。一方、上記のような状況で上限値のみが存在するケースについては、政策提言として日本などの研修医配属プログラムへの応用を記した論文を経済学分野の学術雑誌に投稿中である。
今年度より着手した「非対称情報」に関する制約の存在する動的マッチング形成問題についても、一定の成果が得られたといってよいであろう。これまでの集権的にマッチングを決定する問題とは違って、この研究では、パートナーを捜し求める各個人が各時点において確率的に候補となる対象に出会い、自身の意思によってマッチをするかどうかを決定していくという分権的な状況を考える。この状況を分析するために、先行研究にならって労働や貨幣の分析に用いられるサーチモデルを応用した。この研究においては、出会った候補者同士が互いのタイプを知ることができないという情報の非対称性が生じているケースに焦点をあて、均衡について分析と比較静学を行った。均衡分析においては、候補者を「受け入れる」か「受け入れない」かの二元的な選択を行う戦略では必ずしも均衡にならないことを発見し、また比較静学においては、各時点で候補に出会う確率が上がると各個人の生涯利得が減少する場合があるという逆説的な結果が生じることなどを明らかにした。
比較静学に関しては、計算が複雑なために正確な分析を行うのに長い時間を要し、次年度も継続して分析を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に立てた計画通りには進んでいるが、計算や分析にやや時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

「非対称情報」の制約が付与された動的マッチング形成問題についての均衡および各個人の生涯利得に関する比較静学を進めていく。各時点で候補者に出会う確率などのパラメータに関して一部で微分が不可能となるので計算は煩雑になるが、正確な分析を心がける。

次年度使用額が生じた理由

旅費(資料収集など)や論文の英文構成費などが予定していたよりも安価であったため、未使用額が発生した。

次年度使用額の使用計画

学会発表、および資料収集の頻度を上げ、より積極的な活動を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Strategyproof matching with regional minimum and maximum quotas2016

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Goto, Atsushi Iwasaki, Yujiro Kawasaki, Ryoji Kurata, Yosuke Yasuda, Makoto Yokoo
    • 雑誌名

      Artificial Intelligence

      巻: 235 ページ: 40--57

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.artint.2016.02.002

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Matching Search with Noisy Types2015

    • 著者名/発表者名
      川崎雄二郎
    • 学会等名
      「公益学+経済学」2大学合同ワークショップ
    • 発表場所
      東北公益文科大学(山形県酒田市)
    • 年月日
      2015-09-04

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi