本研究は、インドの児童養護施設出身の若者たちの有する複数の準拠集団が、若者の選択・決定において相互に補完的な役割を担っていることについて、次の点を明らかにした。 1)若者たちは、都市で児童養護施設を基盤として築いた社会関係に基づき、施設出身者のグループ、施設職員、故郷尾家族といった複数の準拠集団を有し、教育、就労、結婚に関する選択・決定の際に相談をしたり、支援を得ていた。 2)若者たちは施設から自立した後、仕事や結婚について施設出身者、施設職員を準拠集団として、具体的な選択・決定をする場合が多いが、故郷の家族の教育や就労については、積極的に助言や支援を行っている場合が少なくなかった。
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