研究課題
(1) 手術手技自動評価システムの構築(モジュール化):ゆらぎ解析などカオス解析を用いた内視鏡外科手術における熟練者と初心者における潜在的な動作の差異を客観的かつ定量的に評価する手法が確立しつつある。本年度は、当該手法の妥当性を証明し、カオス解析を用いた手術手技自動評価システム(neural network; NN)を構築した。本手術手技自動評価システムの正答率は79%まで高めることができ、学習を終えたアルゴリズムを手術手技自動評価システムとしてモジュール化した。本成果は2015年4月にNashville, TN, USAで開催されたSAGES2015において、口頭発表を行い、それに関する原著論文を投稿中である。(2) G2NCサーバシステムへの融合:強力なデータマイニング装置として、上述のNNを備えたG2NCを現在開発中である。(3)臨床トレーニングモデルの作成:医用画像から3Dプリンタを用いたエネルギーデバイスを使用可能な実体術前シミュレーションモデルの試作第1号(肝臓モデル)を作成した。現在は手術トレーニングモデルとして実用可能なデバイスとして、電気抵抗値などを決定するための実験を行っている。本研究に起因する成果を2014年11月に大阪で開かれた第23回日本コンピュータ外科学会および、同年10月に盛岡で開かれた第27回日本内視鏡外科学会シンポジウムで発表した。
2: おおむね順調に進展している
本研究は大きく分けて2つの手法からなる。一つは客観かつ定量的な手術手技評価手法の確立であり、他方は前述の評価手法を用いた手術トレーニングデバイスの開発である。本手術手技評価手法は当初、磁気センサなどを用いたカオス解析を中心とした数値解析手法を応用したものを開発する予定だったが、術中動画を用いたSurgical Processing Model (SPM)手法を応用することによって当初の計画よりも更なる発展が見込まれるため、当初の計画を踏襲しつつ新技術を取り込む予定である。一方で、手術トレーニングデバイスの開発は電気メスを使用可能な素材選定とそれの成形技術の難易度が当初の計画よりも高く、平成26年度中の開発終了には至らなかった。
今後の方針として、手術手技評価手法はこのままカオス解析の自動化システムの開発を進め、更にSPM解析手法を取り入れることによって、より強力な手術手技評価手法になることが予想される。一方で、引き続き手術トレーニングデバイスの開発に関して、電気メスを使用可能な素材選定とそれの成形技術の開発を続けていく予定である。最終的には、これらを統合し、手術手技自動評価システムを取り入れた新しい手術トレーニングデバイスを開発し、それを九州大学病院手術トレーニングセンターにて運用試験を行い、その臨床的意義の検討を行う予定である。
次年度4月に開催の国際学会に参加し今年度の研究成果に関して発表を行うため。
SAGES2015旅費、参加費に使用する予定。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 産業財産権 (1件)
Endoscopy
巻: 未定 ページ: 未定
10.1055/s-0034-1391438
Asian Journal of Endoscopic Surgery
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The international journal of medical robotics + computer assisted surgery : MRCAS
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Surgical Endoscopy
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Open access journal of sports medicine
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