研究課題/領域番号 |
26870430
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
八木 祐介 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 特別研究員(PD) (60612421)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | RNA / タンパク質工学 / 一分子イメージング |
研究実績の概要 |
本研究では、配列特異的にRNAと結合するPPRモチーフを利用して、新しいRNAイメージングツールの開発を目指している。本年度は、まず塩基認識モジュールを作成し、配列特異的結合性を評価する系の確立を行った。1つのmRNA上に2つのレポーター遺伝子(Rluc、Fluc)がコードされているBi-cistronic vectorをベースに、両LUC間に結合配列を挿入し、PPRがそこへ結合した場合のみ、Flucの翻訳が活性化されるような系を考案した。まず、翻訳活性化が期待される蛋白質と天然型PPR蛋白質との融合蛋白質発現ベクターを作成し、HEK293T細胞に導入しルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、いくつかの融合コンストラクトにおいて、2倍以上のFLUC翻訳活性が結合配列依存的に見られた。次に、4種類の結合配列を設定し、それらと特異的に結合するPPR蛋白質を設計し作成した。それらカスタムPPRと翻訳活性ドメインとの融合蛋白質発現プラスミドを作成し、上記のアッセイ系を用いて評価を行った。その結果、2つのPPRにおいて強い翻訳活性化が見られ、さらにその活性上昇が配列特異的であることも確認できた。以上の結果から、50%の確率ではあるが任意配列を特異的に認識するPPR蛋白質を人工的に作出できることが証明された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、PPRモチーフを並べたRNA認識モジュールの作成手法の確立と、一分子イメージングのための可視化モジュール開発の2つの課題がある。これまでの研究では、作成したPPR蛋白質のRNA結合性能の評価方法に問題があった。そこで初年度はまずPPR-RNA結合アッセイ方法の確立を目標にした。本研究で考案したBi-cistronic mRNAを利用したassay方法によって、非常に簡単に作成したカスタムPPRの評価ができるようになった。さらに迅速にカスタムPPRの結合性能を評価ができるように、クローニング手法などを改良し開発のスピードアップに成功している。よって、初年度の目標は概ね達成されており、次の目標である可視化モジュールの開発に進めると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究で塩基認識モジュール開発については一定の成果を得ることができたので、当初の予定どおり次年度は可視化モジュールの開発をすすめていく。実験で用いる系は当初の計画であった酵母ではなくHEK293Tなどの動物培養細胞で行う。まずはレポーター遺伝子にPPR結合配列を搭載し、そのRNAを可視化することで、ツールとしての評価を行う。そこで得られた情報をもとに、年度後半は実際に細胞内で発現しているRNAの可視化にとりかかる。mRNAのUTRやORFを標的とするカスタムPPR蛋白質を作成し、in vivo RNAイメージングを行う。
|