研究課題/領域番号 |
26870433
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研究機関 | 公益社団法人中国地方総合研究センター |
研究代表者 |
石松 一仁 公益社団法人中国地方総合研究センター, その他部局等, 研究員 (60724606)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | レインガーデン / 都市型洪水緩和 / 土木環境システム / 環境修復技術 / 生物多様性 / 都市緑化 / グリーンインフラ |
研究実績の概要 |
本年度は、レインガーデンをはじめとするグリーンインフラ(緑の構造物)に関する研究で多くの実績を持つコペンハーゲン大学のMarina Bergen Jensen教授の研究室を訪問した。そして、同研究室がコペンハーゲンにおいて展開しているレインガーデンを用いた都市型洪水緩和に向けた実践的な取り組みについての調査を実施した。同時に、同教授が担当する「Urban Ecosystems」を受講し、レインガーデンの設計・配置計画手法などを学んだ。それらの結果と昨年度実施したアメリカオレゴン州ポートランドとフロリダ州ゲインズビルでの事例調査結果を比較することによって、気候・風土が異なっても共通するレインガーデンの構造的特徴を把握した。これらの知見は、研究発表に加えて造園業者や行政担当者を対象としたレインガーデンに関する技術セミナーなどで情報発信する際にも活用する予定である。 一方、九州工業大学戸畑キャンパスに昨年度建設したレインガーデンにデジタル水位計(MODEL-4800 S&DL mini、応用地質株式会社製)を取り付け、レインガーデンの雨水吸収能力を評価するための検証実験を実施し、その実験データを解析した。 上述した事例調査と検証実験に関しては、次年度初頭に英文ジャーナルに学術論文として投稿するための準備がほぼ完了した。また、昨年度の研究成果を国内学会2件と和文雑誌1本で発表した。 その他に、北九州国際会議場にて開催された「都市と自然の共生シンポジウム」に出席し、中央大学の鷲谷いづみ教授と九州工業大学の伊東啓太郎准教授による基調講演から、今後我が国において期待されるレインガーデンなどのグリーンインフラの役割についての最新情報を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の2本柱である「海外におけるレインガーデンの先進事例調査」と「実験ヤードに建設したレインガーデンのモニタリング調査」に関しては、計画通りに進展している。また、昨年度やや遅れの見られたGISによる実験ヤード周辺の不透水層(コンクリートやアスファルトなど雨水が地下に浸透しない表面)の変遷状況の把握については、遅れを解消することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究の最終年度にあたるため、学術論文や学会発表などの情報発信に重点を置く。具体的には、英文ジャーナルに2本投稿することに加えて、国際学会で1回、国内学会で2回発表する予定としている。 また、本研究によりこれまで得られた知見をもとに、GISを用いて広島市内(研究代表者の現在の勤務地)におけるレインガーデンの建設候補地を提案し、その候補地にレインガーデンを建設した場合に想定される雨水浸透量をシミュレートする。
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