研究実績の概要 |
本研究の目的は,肥満改善に有効な認知行動療法プログラムの開発とその効果検証を行うことである。これまで①タイプA行動パターン(Type A Behavior Pattern:TABP)かつ食行動異常のダブルリスクを有する者は,肥満リスクが極めて高いこと,②肥満者への3ヶ月の集団認知行動療法により,体重が約3kg減量することを示した。これらの結果より,心理行動特性に焦点をあてたプログラムを構築することで,既存の集団認知行動療法よりも高い減量効果が得られる可能性がある。本研究では,肥満に対する既存の集団認知行動療法(Group Cognitive Behavior Therapy:GCBT)に,タイプA行動パターンコントロールおよび食行動変容をプログラムに加えた新たな減量プログラムを作成し,効果検証を行う。 研究実施状況として,平成29年9月には日本心理学会第81回大会,11月には第55回全国大学保健管理研究集会にて学会発表を行った。3ヶ月間のGCBTに参加した者は,介入前に比べて介入後は体重が減少していた。介入前に比べて介入後は,怒り, 不安, うつ等のネガティブな感情によって喚起される情動的摂食が低下し,摂食を抑制する傾向を示す抑制的摂食が上昇した。しかしながら,介入後のタイプA行動パターン得点は介入前に比べて変化がなかった。さらに,平成30年1月にはタイプA行動パターンと肥満の関連についての論文をACTA MEDICA NAGASAKIENSIA(査読付き)に掲載することができた。多重ロジスティクス回帰分析の結果,男性においてタイプA行動パターン者は肥満のリスクがそうでない者に比べ,約1.5倍となることが示唆された。タイプA行動パターン者は早食いであり,早食いにより量を多く食べることで体重増加している可能性がある。
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