①131I内照射及びX線外照射誘導性DNA二重鎖切断(DSB)の線量依存的及び時間経過による変化の解析 外照射では0~5Gyの線量で0~24時間、内照射では0~10uCiの線量で0~48時間で検討を行った。各々の検討では53BP1/gH2AX focus数、及び中性コメットアッセイ(comet assay)にてtail moment を算出しDSBを定量した。その結果、in vivo、in vitro両方において線量依存的にDSBが増加し、時間経過では照射0.5時間後をピークにその後減少した。これらを放射線誘導性DSBのモデルとした。
②131I内照射及びX線外照射誘導性DSB発生における活性酸素種(ROS)の関与及び抗酸化剤によるDSB抑制効果の検討 in vitroにおける外照射及び内照射の実験系では抗酸化剤N-Acetyl cysteine(NAC)の前処理によりROSの上昇を完全に抑制し、comet asseyによるDSBも抑制した。53BP1/gH2AX focus数は抑制しなかったが、これはNACの別の作用による可能性を考えこの実験系には不適とし、comet assayを採用した。またin vitroにおける内照射の実験系ではNACの後処理でもROS及びDSBの上昇を有意に抑制した。これは取り込んだ131Iからの内部被ばくによるROSの産生を抑制したためで、内部被ばく後の抗酸化剤投与の有効性を示した。in vivoにおいてはcomet assayによる解析が難しく検討が困難となった。
③放射線被曝により癌を高率に発生させるために下記の3 種類の遺伝子改変マウスを用いた。外照射においては4~8Gy、内照射では4.5~22.5uCiの131Iを腹腔内投与投与したが、いずれの種類のマウスにおいても内・外照射群ともに組織変化における非照射群との差異がなかった。
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