研究課題の最終年度として、残されていた課題及び研究進捗に伴い新たに必要となった課題について研究し、まとめを行った。ソーシャルブレインの観点からみた自閉症スペクトラム障害の障害特性として、情動的刺激に対する情動反応の特異性と対人関係性の関連、言語的コミュニケーション場面における相手との関係性を踏まえた会話特徴などに関する実験的検討を行い、自閉症スペクトラム障害児の特異性が明らかになった。さらに自閉症スペクトラム障害児の身体イメージと行為可能性の関連についての検討を行い、自己身体と環境との相互作用についても特異性があることを見いだした。これらの知見は、自閉症スペクトラム障害児が自己―他者との関係性や自身の身体や情動といったソーシャルブレインに関係する能力館で定型発達とは異なる連結状態を形成していることを示唆している。また学校現場における発達障害児に対する介入支援として、授業のユニバーサルデザイン化を用いた支援の展開についての基礎資料となる調査研究を行い、特に通常学級における発達障害児に対して多角的な面からの支援が必要であることが示された。また臨床研究として、集団介入による発達障害児へのグループプレイセラピーの実施や個別介入等の事例研究も行い、他者との関係性の中で自らの情動をコントロールするための支援方策の重要性が示唆された。 本研究によって得られた知見は、関連諸学会での発表及び論文公刊による報告を予定している。
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