研究課題/領域番号 |
26870450
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中妻 啓 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (40635645)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 触覚テクスチャ / 表面粗さ計測 / 超音波計測 / ヒューマンコンピュータインタラクション / バーチャルリアリティ |
研究実績の概要 |
本研究は人間が物体表面に触れた際に感じる「ざらざら」「つるつる」といった触覚テクスチャの遠隔計測法の確立を目指している。触覚テクスチャ知覚に関連する物理量は複数あるがその中でもテクスチャ知覚に主要な影響を与えると予想される物体表面の微細な凹凸形状、すなわち表面粗さを測定対象として研究を進めている。ヒトがテクスチャとして感じる表面粗さはナノメートルからミリメートル程度の形状までを含むが、ミリメートル程度の凹凸形状を表面の光学的性質によらずに測定するために超音波の反射・干渉を利用した手法を提案している。 今年度の成果は第一に提案する測定系で生じる物理現象をモデル化したこと、第二に構築したモデルの有効性を検証する実験系を完成させ基礎的なデータを取得したことである。 モデル化については当初予測していた超音波スペックルパターンを用いた測定は物理現象のモデル化および測定系の構築が困難であったことから、測定対象表面に超音波を照射した際の反射・干渉により生じる音圧分布を理論的に考察した。任意の表面形状入力に対して生じる反射波音圧分布を計算するプログラムを作成し、反射・干渉モデルに基づく表面粗さ計測が可能であることを示唆する結果を得た。 以上のモデルの有効性を実験的に検証するための実験系を構築した。実験では40kHzの超音波を用い、数十センチメートル程度離して置かれた測定対象に照射した超音波の反射分布を測定する装置を開発した。表面に複数の溝を刻んだ試料について、溝幅に応じて反射波音圧分布が変化すること、音圧分布の形状がモデルに基づく計算結果と一致することを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では超音波を用いて触覚テクスチャを遠隔計測する手法の確立を目指している。H26年度中に、当初の計画通り物体表面に超音波を照射しその反射波の空間分布を測定する装置を完成させた。また、理論的な考察を行い実験結果と一致することを確認している。以上から、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度はH26年度中に構築したモデルに基づく計測データの取得を引き続き行う。H26年度中には限られた表面粗さパターンのみで実験を実施したので、粗さ形状のパターンを増やしてモデルによる計算値と比較していく。また、音圧分布データからの表面粗さ形状の推定について手法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた基板製作の外注費用が、新たに導入した基板加工機を用いて自作したために不要となったため余剰分が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
学内で自作を予定した測定対象試料については自作が困難であることが分かったためH27年度に外注して製作する予定でありH26年度の余剰分を充当する。
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