研究実績の概要 |
①[Leu11]-HK-1の髄腔内前投与により、HK-1の髄腔内投与による引っ掻き行動の誘発は有意に減少したが、SPによるものは減少しなかった。[Leu11]-HK-1はSPの髄腔内投与には影響を与えず、HK-1に対してのアンタゴニストとして作用することを示した。②ホルマリンのラット後肢への皮下投与による後肢の挙上行動について、[Leu11]-HK-1の髄腔内投与ではPhase I,IIともに挙上数は減少せず、[Leu11]-SPではいずれも有意に減少した。また、脊髄L4-L5部位の後角でのc-Fos発現に関する免疫組織学的検討では、[Leu11]-HK-1の髄腔内投与ではI/II層においてc-Fosの発現には変化はなく、[Leu11]-SPの前投与では有意な低下を認めた。このことはHK-1の痛みの伝達機構への関与は少ないことを示唆している。③セロトニン、ヒスタミンのラット背部への皮下投与による引っ掻き行動の誘発について、[Leu11]-HK-1、[Leu11]-SPの髄腔内前投与でいずれも引っ掻き行動の有意な減少を認めた。また、免疫組織学的検討でも脊髄L4-L5部位の後角I/II層において、c-Fos発現の有意な減少を認めた。結果、HK-1、SPの両者が痒みの伝達機構に関連していることを示唆しているが、HK-1は痒み特有の機序に関係している可能性があり、[Leu11]-HK-1は痒みの伝達機構を明らかにするための有用なツールであることを示した。また、[Leu11]-HK-1の一部を[D-Trp]に置き換えたペプチドを作成し、その抗掻痒効果と効果時間の延長を調べた。[D-Trp9]-[Leu11]-HK-1の髄腔内前投与によって、HK-1の髄腔内投与、痒み誘発物質であるヒスタミンとクロロキンの皮下投与では、有意に引っ掻き行動を減らし、その効果は24時間持続することを認めた。
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