研究課題/領域番号 |
26870456
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
新里 能成 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00464470)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | glioblastoma / FLNC / ABCG4 / 予後 / 治療標的 |
研究実績の概要 |
Glioblastoma(GBM)に対する標準的治療は、手術による摘出と、その後の放射線照射、temozolomide(TMZ)投与である。しかし、これらの治療を適切に行っても5年生存割合は10%程度であり、GBMは非常に悪性度が高く治療困難な腫瘍であり、さらなる治療の開発が必要である。 我々は、GBMにおける新たな治療標的となり得る因子を探索する目的で、米国立癌研究所が提供している大規模ながんゲノムデータベースであるThe Cancer Genome Atlas(TCGA)のデータを用いて解析を行い、Filamin C (FLNC)とATP-binding cassette sub-family G member 4(ABCG4)の2つの新たな予後関連因子を同定した。 我々の研究は、これらの分子のGBMにおける機能解析、治療標的としての可能性を探ることを目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TCGAの解析により、GBMが遺伝子の発現パターンによって明確に4つのサブグループ(proneural type, classical type, neural type, mesenchymal type)に分けられるという画期的な結果が、アメリカのグループより示された。さらに、これらサブグループは、例えばProneural typeは積極的に治療を行っても予後に変わりがない、など治療反応性が異なる臨床像を呈することが分かった。このことから、今まで分子生物学的背景の異なる腫瘍群に画一的な治療を行っていた可能性が高く、このことが十分にGBM治療をできない原因の一つと考えられる。GBM治療を、この4つのサブグループに分けて構築し直すという観点から、我々が、GBMの予後因子として同定したFLNCとABCG4について検討を行った。その結果、この2分子とも、proneural type、特にIDH1変異群において、その予後に非常に強く相関していることが分かった。実際、GBM細胞株であるU87細胞にIDH1変異(R132H)を強制発現させ、さらにFLNCに対するshRNAを導入しFLNCをノックダウンさせると、その細胞運動能、浸潤能が抑制されることを我々は確認した。
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今後の研究の推進方策 |
IDH1変異群におけるFLNCの機能解析を行い、その治療標的としての可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に、培養実験、生化学的実験のための試薬が大量に必要であるため。また、マウスを用いたin vivoの検討を計画しており、マウス購入、飼育に費用が必要なため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の様に、試薬やマウス購入に充てる予定である。
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